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事業承継におけるM&Aについて

前回は、事業承継において、M&Aが活用できることなどをお伝えいたしましたが、

 

今回から、少し踏み込んで、具体的にM&Aの手法をお伝えしたいと思います。

 

事業承継におけるM&Aについては、大きく株式譲渡と事業譲渡、分割型分割(組織再編)を

 

利用したものなどに分けられますが、最もシンプルで、売り手(売却会社の株主)にとって

 

メリットが大きい株式譲渡を、まず、説明します。

 

 

Ⅰ 株式譲渡

 

株式の譲渡とは、売却会社の株主が売却会社の株式を買収会社に譲渡する方法をいいます。

 

株式譲渡を行った場合、売却会社の法人格をそのまま引き継ぐことから、

 

個別の資産などの移転手続きをすることなく、

 

売却会社のすべての権利義務をそのまま取得することができるため、

 

最もポピュラーなM&Aの手法として活用されています。

 

 

では、売り手である売却会社の株主と買収会社の課税関係について説明します。

 

 

1 売り手である売却会社の株主の課税関係

 

 

あくまで株式の譲渡取引となるため、

 

売却価格から取得価額(多くの場合には、株式の発行価格となるものと思われます。)と

 

譲渡のためにかかった費用を差し引いて算出された所得金額に15.315%を乗じて算出した

 

所得税(別に、5%の住民税が課税されます。)が課税されて完了しますので、

 

どのように高く売却されても、売却価格の約80%を手元に残すことができます。

 

なお、現行の税法では、株式の譲渡取引から得た収入については、

 

申告分離課税という方法で課税されるため、売却した年の給与収入などの他の収入と合算されて、

 

高い税率で課税されてしまうことはなく、株式の譲渡は株式の譲渡所得だけ、

 

一定の税率で、課税されるという特徴があるため、税金面からみても、

 

かなり有利といえます。

 

 

2 買い手である買収会社の課税関係

 

 

特段、課税関係は生じませんが、買収会社の貸借対照表の投資その他の資産(固定資産)に

 

投資有価証券(子会社株式)が表示されることとなります。

 

買収会社のメリットは、売却会社から移転する資産に不動産が含まれている場合、

 

不動産取得税の支払うことなく、不動産を取得できるという点が挙げられますが、

 

これについては、その分だけ売却価格に織り込まれていることも考えられるため、

 

一概にメリットといえない面があります。

 

 

次回は、株式譲渡について、もう少し踏み込んで、説明したいと思います。

 

 

 

 

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