活動レポート
- 相続/贈与/事業承継
株式譲渡が行われた場合におけるオーナーの取扱いについて
以前、株式譲渡によるM&Aついての概要をお伝えしましたが、
今回は株式譲渡が行われた場合におけるオーナーの取扱いについて、
具体的にお伝えしたいと思います。
株式譲渡では、売り手であるオーナーは、株式を譲渡することから、
株式の譲渡価額が取得価額と譲渡費用の合計額を上回る場合、
株式譲渡所得に対して所得税(15.315%)と住民税(5%)が申告分離課税で課税されます。
算式で表すと
株式譲渡所得 = 譲渡価額(売却価格)-(取得価額+譲渡費用)
となります。
では、譲渡価額から、差し引くことができる取得価額と譲渡費用について、
少し詳しくお伝えしたいと思います。
1 取得価額
一般的には、設立当初の出資額(額面5万円であれば5万円)であることが多いのですが、
増資や株式交換等の組織再編を行っている場合には、
取得価額が当初の出資額と同額とならないケースがあるため、
取得価額の把握の際には、過去の組織再編等の確認が必要です。
また、相続等(限定承認にかかるものを除く。)又は贈与により取得した場合は、
被相続人(贈与者)の取得価額(出資額など)を引き継ぐこととなりますが、
被相続人(贈与者)の取得価額が不明である場合や取得価額が譲渡価額の5%に満たない場合は、
概算取得費の特例により、譲渡価額の5%を取得価額とすることもできます。
2 譲渡費用
株式等の譲渡のために要した費用としては、売却のための委託手数料、
M&Aを実行する際に金融機関等に支払った手数料が該当します。
※ 注意しなければいけない点
売却した年の翌年の確定申告期限までに所得税の確定申告を行い、
売却に係る所得税を納付することとなりますが、
申告した年の6月頃から住民税の納付が始まるため、その住民税分の納税資金を
確保しておくことに注意が必要です。
では、もし会社の財産のうちで残したい財産があり、
それをM&Aの対象から除きたい場合にはどうしたらよいでしょうか。
そのような場合に一般的な方法で行なわれるのは、
M&Aの前に、役員退職金による現物支給等の方法により、個人へ分配する方法がとられます。
ただ、残したい財産に含み益がある場合には、会社で譲渡による利益に課税され、
オーナー個人に対しては、退職所得等として課税されますが、場合によっては、
税金が多くなるため、それを少なくするために分割型分割を選択する方法を
とられるケースも見られます。
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