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事業譲渡が行われた場合の取り扱いについて

前回、株式譲渡が行われた場合におけるオーナーの取り扱いについてお伝えいたしましたが、

 

今回は、M&Aの手法のひとつである事業譲渡について、お伝えしたいとと思います。

 

 

まず、事業譲渡の概要ですが、事業譲渡とは、M&Aを行う会社

 

(以下では、「買収会社」とします。なお、買収される会社を買収対象会社とします。)

 

が買収対象会社の事業を買収会社が譲り受け、買収対象会社が対価として現金などを

 

取得することをいいます。

 

あとで、述べますように税務リスクを遮断できるというような理由から、

 

一般的に買い手である買収会社のメリットが大きい手法といえます。

 

では、買収対象会社と買収会社、それぞれの取り扱いを見ていきたいと思います。

 

 

1 買収対象会社の取り扱い

 

事業譲渡を行った場合、売り手である買収対象会社には、

 

通常の資産や負債の売却と同じように事業譲渡損益が生じます。

 

また、消費税も課税されます。

 

(なお、合併、会社分割の場合には、消費税は課税されません。)

 

また、以前にお伝えした株式譲渡と異なり、譲渡代金は買収対象会社のオーナーではなく、

 

買収対象会社に入金されますので、買収対象会社のオーナーなどに譲渡代金を

 

移転させる場合、買収対象会社で譲渡益に対しての法人税等の課税と配当等による課税という

 

二段階の課税が行われることとなり、資金が目減りするデメリットがあります。

 

一方で、買収対象会社や買収対象会社のオーナーなどが残したいと思った資産を

 

残すことができるというメリットがあります。

 

 

2 買収会社の取り扱い

 

事業譲渡は、基本的に、ある事業に係る特定の資産や負債を時価で

 

買い取るという手法のため、買収対象会社の簿外負債を引き継がされるおそれがないことや

 

買収対象会社が事業譲渡の対象となった資産や負債について行った税務処理の否認リスクなど

 

を負わなくてもすむといったようなメリットがあります。

 

 

また、引き継いだ減価償却資産については、時価で受け入れることから

 

減価償却の基礎は時価となるため、買収対象会社が減価償却してきた後の帳簿価額を

 

基礎に減価償却費を計上するよりも、減価償却費を多く計上することができます。

 

そして、耐用年数も通常の法定耐用年数ではなく、

 

中古資産の耐用年数を適用することができるため、

 

適用される耐用年数が短くなり、

 

減価償却費を多く計上することができます。

 

そして、最後に、資産や負債の差額を上回る対価を支払った場合には、

 

「のれん」という資産調整勘定が計上されますが、

 

この「のれん」については、5年間で損金に計上することができます。

 

ただし、一定の組織再編を行った場合に受けられるような

 

不動産取得税の非課税措置は受けられないため、原則通り、不動産取得税は課税されます。

 

 

 

 

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