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売り手が振込手数料を負担する場合の返還インボイス交付義務免除と税区分

令和5年10月1日から始まるインボイス制度には様々な税制上の措置がありますが、

 

その中の【返還インボイスの交付義務免除】をご存じでしょうか?

 

 

値引き等が生じたら本来であれば値引き額等を記載した請求書(返還インボイス)を

 

再発行しなくてはならないのですが、値引き額が少額(1万円未満)である場合は、

 

その返還インボイスの交付を不要にする、というものです。

 

 

ここでポイントになるのが、「売上値引き」として処理する場合は不要になる、

 

という点です。逆に言うと、「売上値引き」でないのであれば返還インボイスの交付は

 

やはり必須ということです。

 

 

 

では、こんなケースはどうなるのでしょうか?

 

A社はB社に対して¥10,000の掛け販売をしました。

 

双方合意の上で、銀行の振込手数料¥330は売り手であるA社が負担することになっており、

 

差額の¥9,670をB社は支払います。

 

B社から入金があった場合のA社の経理処理は?

 

 

①振込手数料を「売上値引高」として処理する場合

 

預金〔不課税〕 ¥9,670            / 売掛金〔不課税〕 ¥10,000

 

売上値引高〔課税売返〕 ¥330

 

➡「売上値引高」の税区分は〔課税対応売上の返還〕なので、きちんと「売上値引き」として

 

処理できています。

 

よって返還インボイスの発行は不要です。

 

※税率は元の売上の税区分に揃えます。

 

 

 

②振込手数料を「支払手数料」として処理する場合

 

預金〔不課税〕 ¥9,670            / 売掛金〔不課税〕 ¥10,000

 

支払手数料〔課対仕入課税売返〕 ¥330

 

➡「支払手数料」は一般的には〔課税対応仕入〕として扱われますが、

 

これでは「売上値引き」として処理できていることになりません。

 

つまり、税区分を〔課税対応仕入〕にしていては返還インボイスの交付が

 

必要になってくるのです。

 

 

そこで、余計な事務負担軽減のためにも、「支払手数料」の税区分を

 

課税対応売上の返還〕にしてみましょう。

 

こうすることでこの「支払手数料」が「売上値引き」の扱いになるので

 

返還インボイスの発行が不要となります。

 

※帳簿に対価の返還等に係る事項であることが分かるようにメモを残しておきましょう。

 

〔課税対応仕入〕としての「支払手数料」と区別するためです。

 

※税率は元の売上の税区分に揃えます。

 

 

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