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人のためになれば福利厚生費というものではないですよ

昨今ニュースにもなっていますが、人手不足が問題になっています。昔から言われている介護

 

や、運送の2024年問題ももちろんそうですが、飲食、建設、どの業態も人手が何年にもわたっ

 

て順風満帆ということはないかと思います。

 

ただ、人手確保のために単純に給与を上げるということも難しい事業者もいます。基本給に関

 

しては上げるのは簡単でも下げにくいということもあり、給与にしても賞与に上乗せして従業

 

員還元したいということもよく聞きます。長期的には悪くないですが、年に2回だと従業員側

 

も経常的な恩恵を感じにくいというところです。

 

そこで、福利厚生は従業員に還元ができ、増減を効かせやすいということで最近話題になって

 

います。しかし、本当に福利厚生費になるのか確認したうえで導入しないと負担が増えてしま

 

うことも考えられますのでご注意ください。

 

話は変わりますが、こちらもニュースに出てくる最低賃金ですが、広島県で言うと、ここ5年

 

で112円、10年で211円増加しています。最低賃金を下回っていないかはもちろんですが、雇用

 

したばかりの方の時給がベテランの方の時給とほぼ同じになってしまうことがあり、給与体系

 

が複雑になっていると話にききます。この場合、ベテランの人の時給をすぐにでも上げないと

 

離職が充分考えられます。最低賃金だけでなく、全員の給料の見直しが定期的に必要になりま

 

す。

 

本題の福利厚生費ですが、一番の注意点として、給与課税されないものかの確認です。一般的

 

なものとして健康診断があります。健康診断は労働衛生法で事業者が従業員に受けさせるよう

 

になっております。事業の遂行上必要であるものなので、会社負担として福利厚生費として処

 

理が可能ですが、(細かな要件は無視します)役員や一部の管理社員だけが人間ドックなど高

 

額な診断を受けた場合、法律がそこまでは指定しておらず、個人の健康管理の範囲になる為、

 

個人負担であるべき、つまり給与課税とされてしまいます。会社が支払うこと自体はいいので

 

すが、所得税対象の給与に加算されること、役員であれば役員報酬の上乗せになるので定期同

 

額給与に反してしまい、税金上の経費にもならないので無駄遣いといっても過言ではありませ

 

ん。

 

福利厚生費の給与課税されない要件としては主にですが、

 

 

・従業員全員が受給できる状態であること

 

 

・社会通念上一般的な範囲、業務遂行上の必要な内容で一定の金額であること

 

 

以上は前提として考えないといけません。

 

従業員全員がサービスを受ける必要はなく、受けられる環境であることが重要です。個人の考

 

えで健康診断を受けない、会社のウォーターサーバーは飲まない。といったことであれば強制

 

する必要はなく、平等に提供できていれば問題ありません。

 

 

そして役員のみの一族経営や個人事業主の場合、福利厚生を決める者とサービスを受ける者が

 

同一となる為、従業員に対し、という名目がなくなるので難しくなります。社員旅行だと家族

 

旅行と同一になったりする為、認められにくいですし、他のサービスも同様です。ただ、従業

 

員に対してのサービスを役員も合わせて享受することは問題ないことが多いです。

 

社員旅行も定番の福利厚生費ですが、高額になることもあり、要件をきちんと確認した方が間

 

違いないです。なんとなく社員で旅行しました。会社経費でお願いします。ではダメでした。

 

となる可能性もあります。

 

逆に、要件を満たすことでダメだろうと思っていたサービスも経費に落とせる可能性もありま

 

す。サービス提供側も従業員向けプランというものも用意しており増えてきています。このこ

 

とで会議を行うことは難しくても、食事中のなにげない話から福利厚生につなげ、従業員のモ

 

チベーション確保につなげられる可能性もありますので経営者の方はご検討いただき、従業員

 

の方は提案してみてはいかがでしょうか。

 

よかれと思って導入したものが従業員の要望と一致せず、無駄遣いといったことにならないよ

 

うに、サプライズではなく事前に打ち合わせをおすすめします。

 

福利厚生に限らないですが、よそがやっているからうちも導入する。というのは失敗する可能

 

性もあります。知らないところで自己負担を払っているから成立することや、経費に認められ

 

ないのを承知でやっていることも考えられますので、自分の会社は自分の会社として考えて導

 

入し、従業員のモチベーション向上、定着率増加に向けてご検討ください。

 

 

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