活動レポート
- 消費税/インボイス
登録番号を取得しない免税事業者と、取引条件を変更してもいいの?
先日、【インボイス制度が始まったら、インボイスが発行できない免税事業者に「消費税分
10%値下げしてください」って言おうと思ったのですけど、それはダメなの?】
という質問がございましたので、今回は、インボイスが発行できない免税事業者との取引条件
の変更について見ていきたいと思います。
自己の取引上の地位が相手方に優越している一方の当事者が、取引の相手方に対し、その地位
を利用して、正常な商慣習に照らして不当に不利益を与えることは、「優越的地位の濫用」と
して、独占禁止法上問題となるおそれがあるようです。
仕入れ先である免税事業者との取引について、インボイス制度の実施を契機として取引条件を
見直すこと自体が、直ちに問題となるものではありませんが、見直しに当たっては、優越的地
位の濫用に該当する行為とならないように注意が必要です。
特に、令和11年9月30日までは、免税事業者からの仕入れでも一定割合を控除できる経過措置
があります。一定の範囲で仕入税額控除が認められる経過措置があるにもかかわらず、消費税
10%相当額を取引価格から引き下げることを一方的に通告することは、仕入税額控除が制限さ
れる分を超えて、取引価格を引き下げることになり、独占禁止法や下請法上問題となるおそれ
があります。
課税事業者になるよう要請すること自体は独占禁止法上問題になりませんが、それにとどまら
ず、課税事業者にならなければ取引価格を引き下げる、それにも応じなければ取引を打ち切る
などと一方的に通告することは、独占禁止法上問題となるおそれがあるようです。
また、課税事業者となるに際し、価格交渉の場において明示的な協議なしに価格を据え置く場
合も同じです。
免税事業者の仕入や諸経費に係る消費税の負担を考慮し、双方納得の上で取引価格を設定すれ
ば、結果的に取引価格が引き下げられても独占禁止法上問題となるものではないようです。
一方的な取引対価の引き下げとならないように、双方が納得した上での適正な価格交渉が必要
となりますので、ご注意いただければと思います。
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